第6章 手を伸ばして2*グリムジョー
これからだった。
私とグリムジョーの関係が歪んだものになってしまったのは。
…何処へ向かう訳でもなく、ひたすらに前進を続ける。
時間が経って月が大きく、近くなったように思えた。
結局、十刃になれなかったあの人は二年のうちに失踪。
誰も得をすることなく終わったのだ。
噂はすっかり忘れられ、グリムジョーもNo.6としての日々を取り戻したけど…
…私達が自ら作った深い溝は埋められず、グリムジョーはますます私と一緒に居るせいで捻じ曲がっていく。
ごめんなさい…何度も心の中で謝った。
あなたの力になれたって信じたかった。
こんなひっそりと勝手に別れを告げて…きっと卑怯だって怒るに違いない。
自嘲する私の脳裏に蘇るのは…
勇気を出してグリムジョーに想いを伝えた日
幸せで温かな気持ちになれた日
突然悪夢に襲われた日
ずっとお互いを暴力で縛り続けた日々はとても辛かった。
どうしてあんなことになったのか、それは今でも分かっていない。
歩き疲れた私は雑踏に座り込む。
何やってるんだろう…自分で笑うしかない。
そう言えば、グリムジョーはよく地面に寝転がってたっけ…懐かしい思い出に浸っていると、一つの霊圧が私の近くまで来ているのに気付く。
(この霊圧…嘘でしょ…!!)