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【短編集】ILY【R18】

第6章 手を伸ばして2*グリムジョー


グリムジョーの部屋に戻ると、暗い雰囲気を漂わせ、ベットに座る彼がいた。

「グリムジョー?」

返事はなかった。
ただただ暗い空気を纏って静かに床を見ている。

そっと近寄ると、怒りを滾らせた目と合う。
久々に背中が凍り、言い難い恐怖に膝から崩れ落ちた。

「…ぁ…」

声が震えて蚊の鳴くような声しか出ない。

「…裏切ったのか」

「ぇ…」

押し潰されそうな圧の中、グリムジョーの一言が頭の中で回る。

(う、裏切り…?)

彼が何を言っているのかわからない。

ベットから降りてこちらに来るグリムジョーを見ていられなくて、私はただただ視線を泳がせた。

グリムジョーの手が私に触れる。
手は信じられない程冷たく、とても狂暴だった。

「うっ…!」

ギチギチと首を両手で締め上げられて息苦しくなった時、身体を床に投げつけられた。

「っ…」

嘔吐く私の顔の横を拳が通り抜け、ぶつかった床にヒビが入る。

「!?」

喉を押さえて苦しむ私を他所に、身動き出来ないことを笑うようにグリムジョーが上にのしかかる。

「…言ったよな…?俺を支えたいって…」

「え…」

何もわかっていないのに…どうしてこんなことになったのか。
一つハッキリ憶えていたのは、見下すように嘲笑するグリムジョーの目が笑っていなかったということだった。
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