第6章 手を伸ばして2*グリムジョー
私はあの人の支持者と廊下で対峙した。
彼は私のことを直接攻撃した人ではない。
少し警戒して様子を伺う。
「おう…お前、グリムジョーと良くやってるらしいな。」
「…」
「ははは、そう構えるなよ…いい知らせがある。」
そいつはニヤッと笑い、私と距離を詰める。
「言っとくが、あの女はもう終わりだ。俺ももうついて行くのは止めた。」
あまりにも呆気ない告白に思考が回らない。
半年も続いた嫌がらせが、突然なくなったことを意味していたから。
「どういうこと?」
「あの女が実力がないことを隠してたって怒った奴らが元を離れたんだ。元々、女には嫌われていたしな。」
「だからあなたも?」
「ああ。俺はあの女がイイ思いをさせてやるっつーからノッたが、とんだ嘘だったな。」
私の知らない事実を伝えられ、困惑する。
確かに最近、あの人を取り巻く人達がほとんど居ないのは分かっていた。
男の話が本当なら、長かった戦いも終わりが見えるということ。
そのことを嬉しく思っていると、男の顔がグイッと私に迫る。
「…フッ」
至近距離で見つめられ、驚きで固まる私を笑ってそいつは去った。
(…グリムジョーに知らせなきゃ)
最後の行動に若干の謎を残しつつ、私は見えた光に胸を踊らせた…のだったけど、その日、私は違う脅威に見舞われた。