第2章 関係
リヴァイは少女を連れて私室に戻るとふとある事に気付いた。
「そういえばお前、服がねぇな」
部屋に入ってやっと袖から手を離した少女は今までとは違い少し大きめに頷いた。
「今から買いに行ったら戻って来る頃には真夜中だ。
今日は俺の服で我慢しろ」
リヴァイはタンスから私服を取り出し少女に渡すと僅かだが小さく口を開いた。
「…有難う」
それを聞いてリヴァイは気にする様子を見せずに風呂場を指さした。
「あっちに風呂がある。
好きに使え」
そう言うと少女は小走りで風呂場へと入って行った。
その様子を見てリヴァイは様々な考えを巡らした。
(あいつは間違いなく地下街の奴だ。
でも何で地上に来れた…?
地上への階段の前にはいつも見張りがいる。
1人で来れる訳がない。
ならばやっぱ人身売買以外考えれねぇな…)
ボーッっとベッドに腰をかけて考え込んでいるといつの間にか風呂から出た少女がリヴァイの横に座ってきた。
「出たのか」
少女は頷くと小さく答えた。
「喉が渇いた…」
「そう言えば何も飲んでねぇな。
腹は減ってるか?」
少女が首を横に振るのを見てリヴァイは簡易なキッチンへと向かった。
お湯を沸かし、先程街で買ってきたばかりの紅茶を淹れてテーブルに置いた。
「わりぃがここには紅茶しか無い。
飲めるか?」
少女は立ち上がりテーブルに備え付けられた椅子に座ると淹れたての紅茶を一口飲み、そしてそのまま一気に全て飲み干した。
「まだいるか?」
そう聞くと少女は若干ぎこちなく微笑みながら頷く。
もう一杯カップに紅茶を注ぐとまた一気に飲み干した。
「お前、紅茶が好きなのか?」
すると小さい声ではあるが少女はポツリポツリと話し出した。
「初めて飲んだ。
とても高いから…」
その言葉を聞いてリヴァイの直感が働いた。
事実であって欲しく無いという思いもあったがとりあえず聞いてみる。
「お前…まさか本当に地下街から来たのか?」
少女はリヴァイの顔を見て少し戸惑いを見せながら頷いた。
「お金が無いから…売られた…」
(やっぱりか…)
そう心の中で呟いてリヴァイは紅茶を飲みながらさりげなく質問を投げかける。
「名前は何だ?」
すると少女は俯いて口を閉ざした。
「心配しなくて良い。
俺も地下街出身だ。
お前を売った奴にはここに居る事は言わねぇ」