第12章 喧嘩は迷惑かけないように (吉原炎上編)
やっば・・・・怒った?
神威はその事に気づいているだろうが、お構いなしに話を進めていく。
神「手土産も、この通り用意してあるんです。きっと喜んでサービスしてくれるでしょ?」
云業と阿伏兎がふすまを開け、ぐるぐる巻きにされた晴太君を見せる。神威はいつも通りの笑顔で、旦那は無言で晴太君を見つめている。
神「嫌ですか、日輪を誰かに汚されるのは。嫌ですか、この子に日輪を連れ去られるのは。嫌ですか、日輪と離れるのは」
鳳「少し、黙るがいい。神・・・」
旦那からの殺気が強くなっていく。だが、神威はそんな事には動じない。ケタケタと楽しそうに笑っている。
神「年はとりたくないもんですね。あの、夜王鳳仙ともあろうものが、全てを力で思うがままにしてきた男が、たった一人の女すらどうにもならない」
私は阿伏兎達の居るふすまに近づき、晴太君に耳打ちをした。
『今から殺しあいが始まる。それが始まったら逃げな。きっと、鳳仙達はそっちの騒ぎを落ち着かせるのに精一杯になる。とにかく、後ろを振り返らずに、ひたすら逃げるの』
晴「で・・・・でも・・・」
『銀さん達が来てくれるから大丈夫よ』
落ち着かせるように頭を撫でてやった。晴太君はひどく驚いた顔をしていた。
神威の方を見ると、既に旦那の隣に座っていた。
そして・・・
神「女に酔う男は見れたもんじゃないですな。エロジジイ」
神威のその言葉が引き金となった。