第9章 傷跡は一生消せない
銀「瑠維が言ってたけどよォ・・・沖田君の姉ちゃんと瑠維って似てるかァ?」
甘味処で瑠維が言っていたことを思い出した。確か・・・沖田君に言われたって言ってたような・・・
土方は少し眉をひそめたが、不機嫌なわけではなく、考えているようだった。しばらくして、口を開いた。
土「自分の事後回しにするところは似てるな」
銀「あー・・・なるほどな」
確かに瑠維は自分の事よりも人の事を助けたりするような奴だ。そのぶん人に甘えるが・・・
土「でも、瑠維はミツバとは違ェ・・・もっと抱え込んでるモノが大きい。ミツバは俺が突き放しても、自力で幸せになろうとして、最後は笑って逝った。前に進もうとしていた。旦那は・・・まあ、残念な奴だったがな・・・それでも、幸せそうに笑えていた」
銀「・・・」
俺は言葉を失った。こいつに瑠維が、自分の過去をぶちまけられたらどれだけ楽になるだろう。でも、こいつは警察。そんな事が許されるはずがねェ・・・。
土「あいつにも・・・瑠維にも笑ってほしい・・・心の底から笑える時が来るまで俺は、江戸を護っていく。そうしないとあいつは・・・」
銀「消えてしまう・・・か」
たまに見せる苦しそうな表情、泣きそうな顔。あいつは、吹っ切れてねェ、過去から・・・。そして、俺も・・・
銀「まあ、質問の答えになっちゃいねーが・・・合格だ」
こいつには瑠維の過去を知る権利がある。瑠維を愛した以上、半端な覚悟は俺がたたっ斬る。
銀「ちと重いぞ~。瑠維の背負ってるモノ・・・それでも聞くよな?」
土「はっ・・・上等だ」
そして俺は瑠維の過去を告げた。