第36章 アニキとしての、弟分としての・・・・
妙「私達が悲しむ中で、あの人だけは・・・・・諦めていなかったのね。尾美一兄様を救う事を。尾美一兄様が私達の元へ戻ってこられるよう、私達だけは兄様を傷つけさせたくなかった、だから・・・・・・私達をつき離して」
お妙さんは震えながら、消え入りそうな声でそう言う。
沖「俺達にてめーらの保護を頼んだのもそのためだろうぜ。きっと同じアニキ分ゆえに野郎の痛みもわかったんだろう。地球もてめーらも全部人にブン投げていっちまいやがったヤローの、アニキの矜持って奴を護るために」
私は新八君の肩を叩いた。
『どうする?このままだと確実に銀時は死ぬ。不器用な奴だからね』
新「そんなの決まってます・・・・・・・」
新八君は私の方を向いた。その眼にはしっかりと侍としての光が宿っていた。
私は新八君に刀を渡した。
新「借りても・・・・・いいんですか?」
『どうぞ、さぁ早く行きな。私も・・・・・アイツに死なれるのは御免だからね』
新「ありがとうございます」
新八君は頭を下げると、走り出した。神楽ちゃんやお妙さんもその後を追って走って行く。
その背中が見えなくなるまで見送っていると、ジミーが、私の携帯を見ている総悟に声をかけた。
山「沖田隊長、いいんですか」
沖「・・・・・旦那、悪いが俺にゃ止めらんねェ。アニキだけじゃねェ。弟分には弟分の、矜持ってもんがあんのさ」
総悟はため息をつき、私に携帯を返した。
その画面を見ると、「画像を消去しました」と映っている。
『あー!!コレだしにして銀時にたかろうと思ってたのに!』
山「どこまで腐れてるんですか?」
『冗談よ。さすがにこんな趣味の悪い・・・・・・・あ、待ち受けにすればよかった』
山「いい事言ってる途中に、凄まじい事言わないでください!!」
と、会話していると、総悟がほんの少し笑った。
沖「さて、俺達もそろそろ行くか。俺達のアニキの所へ」
私はその言葉ににやりと笑った。