第36章 アニキとしての、弟分としての・・・・
沖「早くいけっつってんだ。しょっぴかれてーのか」
こそこそと辺りを警戒しながら石垣の隙間から出て行っていた、神楽ちゃんを総悟が蹴った。
『ちょっと~一応神楽ちゃん、女の子だよ?』
沖「こんな怪力で怪我しても一日で治るようなのは女とはいいやせん」
『・・・・・・私も同じようなもんじゃない?』
沖「瑠維はそれなりに面もスタイルもキャラもいいんで問題ありやせん」
『神楽ちゃん・・・・・可愛いじゃんか』
その一言には答えず、総悟は神楽ちゃんの方を向く。
神楽「オイ、どーいう事アルか。お前らオビワンつかまえに来たんじゃないアルか」
『カブト狩りみたいにさらっと言う言葉じゃないよね?それって・・・・・・』
私が苦笑いで崩れた石垣に埋まっていた神楽ちゃんを助け出す。
沖「銀河剣聖とやり合うのも一興だが、生憎近藤さんに止められててね」
妙「じゃあ、アナタ達一体・・・・・」
お妙さんは総悟に質問する。私は総悟の代わりに答えた。
『私達は尾美一をつかまえに来たわけじゃないの。尾美一を追う警察の牽制。そして、新八君達の保護をしにきたの』
その言葉に新八君は困惑しているようだった。
新「な・・・・なんでそんな事」
沖「頭下げて頼みに来たんだよ。旦那が」
そのまま総悟は続ける。
沖「まさかあの旦那が、俺達に頭下げるたァね。尾美一はなんとか俺が生きたまんまとっつかまえるから、だからどうかそれまで手ェ出さずに待っててくれねーかってよう」
その後の言葉は私が紡いだ。
『あの空っぽの頭、地面にこすりつけてたけど』
信じられないと言ったような顔をした三人に、私は携帯をおもむろに取りだしてみせる。
『なんなら見てみる?あのバカの哀れな姿』
すると、私は新八君に胸倉を掴まれた。
新「なんで・・・・・んな事してんだよ」
『・・・・・・・』
新「なんでアンタらに、んな事頼んで、僕らには何も言わねーんだよ、あのバカ!!」
『それは・・・・・・・』
妙「私達を・・・・・尾美一兄様から遠ざけるため・・・・・」
私の言葉を遮って、お妙さんが眼をそらしながらそう言った。