第35章 信じるに値する男
それから十分後・・・・・
「いらっしゃいませ~!」
と店員の声が聞こえ、入口を見てみると不機嫌な顔をしたトシが・・・・・
私はテーブルから席を立つと、伝票を持ち、レジに向かった。
土「貸せ、俺が払う」
『え~、払ってもらうほど食べてないよ』
土「先にパトカーに乗っとけ」
『え、じゃあさ!レジの横にあるチョコレートも買ってよ!お金は返すからさ』
トシはそんな私に呆れたような顔になったが、すぐにレジに向かって行った。
『案外怒ってないじゃん』
私はそのままパトカーに乗り込む。
助手席に乗り、シートベルトを締める。
しばらく経つと、トシがファミレスから出てきた。
そして運転席のドアを開け、乗り込んでくる。
土「ほら」
『ありがとー!!私、昨日の昼から何も食べてなくてさァ・・・お腹空いてたんだよね』
私はチョコレートの包装を剥がし、一つ口に放り込む。
『で?何で大変なんですか?』
私はモゴモゴと口を動かしながらそう言う。
そんな私にトシは新聞を手渡す。
読めってことかな?
『・・・・・ああ、これね』
新聞には毘夷夢星について書かれてあった。
もちろん内容は知っているので読む必要すらない。
土「知ってたのかよ」
『大変だねェ、幕府もこんなことになっちゃって』
土「人ごとだな、オイ」
『どーするんです、副長。このままじゃこの地球、無くなりますよ~』
土「どーするって言われても・・・・・なァ・・・・」
考えてないのかい!
トシらしいけど・・・・・
『とりあえず・・・・・その贈り物とやらを見つけないとダメですよねェ』
土「・・・・そうだな」
トシは私を運転しながら横目で見る。
土「それ、一つくれ」
『これ?』
私はチョコレートを一つ取りだすと、トシに手渡す。
運転していない方の手で器用に包装紙を剥がすとそのまま口に放り込んだ。
『マヨネーズは入ってないよ?』
土「んなこたァわかってる」