第35章 信じるに値する男
私は結局、ファミレスに夜が明けるまで居座っていた。
ドリンクバーを頼み、オレンジジュースをストローで吸う。
机の上に置いた携帯はバイブ音が鳴り続けている。
ディスプレイには「土方十四郎」の文字が・・・・・・
『連絡するの・・・・・忘れてた・・・・・』
私は頭を抱え、携帯と睨みあう。
鳴り止め~、鳴り止め~・・・・・・と念じるがまったく効き目なし。
私は腹を決めて携帯の通話ボタンを押した。
『・・・・・・・・只今お掛けになった電話番号は現在使われておりませ・・・・・』
土「な~に、ふざけた事ぬかしてやがる!!藤間瑠維!」
きっと電話を持っているトシの額にはくっきりと皺が寄っているだろう。その証拠に、異常なほど不機嫌で、無駄にデカイ声が聞こえる。
『・・・・・・す・・・・みません・・・・・』
土「今、何時だと思ってんだ!?もう朝だろ!?」
『・・・・・はい・・・・・』
土「こっちはそれでなくても大変だってのに・・・・・」
『何が?』
土「・・・・・・もういい。今、どこに居る?」
『・・・・・自分で帰ってきます』
土「逃げるだろーが!どこに居る!?迎えに行くから」
『うぅ~・・・・・ファミレスです・・・・・』
私は渋ったが、そう呟いた。
土「どこのだ?」
『歌舞伎町・・・・・・』
土「またかよ・・・・・ったく・・・・・わかった。そこに居ろよ?」
『へ~い・・・・・』
電話を切ると、私は机にうつぶせた。
『電話って・・・・・何でこんなに疲れるんだろ?』