第32章 あれ?
『神威・・・が?』
私の事を助けただなんて・・・・信じられない。が、私は今生きている。
少しはわかってくれたのだろうか。人を愛することの喜びを、失う事の悲しみを・・・・・
『あれ?諦めないって何?』
諦めない?私を諦めないって何?どういう事?
トシは私を振り向かせ、向き合うようにして抱きしめる。
私もトシの背中に手をまわし、抱きついた。
土「好きだってことじゃねェの?」
『・・・・神威が私を?いや・・・・それは知ってるけども・・・・』
土「取られねェようにしねぇとな」
顔を上げ、トシを見つめた。
ほんのり頬が赤く染まっていた。
『トシ可愛い』
土「はぁ!?男に可愛いって・・・・」
『じゃあ、かっこいい?』
土「なんで疑問形なんだよ!?」
『アハハ・・・・愛してる、トシ』
私は背伸びをしてトシの頬に軽く口づけた。
土「い・・・いきなり何だよ//////」
『いや~・・・・思ったから言っただけ。特に深い意味合いはないよ』
私はトシにきつく抱きついた。
『神威に取られないように・・・・繋ぎとめててよ?』
土「んなこと・・・・・わかってらァ・・・・」
トシは私の頭を愛おしそうに撫でた。
土「どうした?瑠維」
『え?』
トシは私の頬に指を這わせる。
土「泣いてる・・・・」
私は慌てて目元に手を当てた。すると無意識のうちに流れ出ていた涙が私の手を濡らした。
『どうしたんだろ?安心したのかな?』
私はトシをもう一度強く抱きしめた。トシも返してくれる。
『もう一度・・・・こんな風なこと出来るなんて・・・・・思ってなかった・・・・・』
土「・・・・そうだな」
『帰ってこられて・・・・・嬉しい』
私はトシを見上げた。