第27章 故郷は何か知らないけど・・・・いいもんだ
『失礼しま~す』
今まで警備をものの見事に突破してきたとは思えないほど呑気な声を出してしまい、慌てて口をふさいだ。
神「威厳がないよね・・・・・」
神威は若干苦笑いだ。
そしてそのままふすまに手をかけ、思いっきり引く。
中にはおびえたような顔をした茂々様と、そよ姫様が居た。そしてその周りを取り囲むようにしているのは見廻り組の隊士たちだ。
『お久しぶりですね、上様』
私は笠を取り、笑って見せる。すると、茂々様は驚いたような顔に変わり、口を開いた。
茂「そなたは・・・・・確か真選組の・・・・」
『覚えてらっしゃったんですか?それは光栄ですね』
私はクスクスと笑って見せる。だがその笑みは、神威や阿伏兎に見せるようなものではない。
『今回は・・・・・真選組としてではありません』
茂「・・・・・どういうことだ?」
私の態度に不信を抱き、緊張したような声音でそう問うた。
それもそうだろう。以前来た時とは全く違うだろうから・・・・
『今回は・・・・・春雨の提督として交渉に来たのですよ。茂々様?』
その言葉に茂々様は凍り付く。私は構わずに話を続ける。
『点心という宇宙海賊のことは・・・・・もちろんご存知ですよね?』
茂「あ・・・・ああ」
『その点心が・・・・この地球を狙っていることは?』
茂「!?」
『・・・・やはりご存じなかったようですね』
私はやれやれといったように肩を落とした。
茂「どういうことだ!?」
『そのままの意味ですよ。豊富な資源のある地球、狙わないわけがありません。』
茂「・・・・そんな・・・・・」
『点心は辰羅や夜兎といった・・・・・有名な傭兵種族を集めていると聞きます。・・・・・とてもあなた方だけでは、歯が立たないでしょう』
その言葉に茂々様は私を驚くように見た。
私は笑いかける。
『こちらとしても、点心をのさばらせておくほど温厚ではないものでね・・・・・このままだとうちのメンツが丸潰れなんですよ』
茂「ということは・・・・・」
『生憎・・・・うちも点心と真っ向からやり合って勝てる見込みは少ない。ですが、地球の侍。彼らと組むとなると話は違います』
私は大きく息を吸い、吐いた。
『単刀直入に言わせてもらいます。我が春雨海賊団と・・・・一時でいいのです。協定を組みません?』