第20章 サランラップ・・・・・・え?違うの?(バラガキ編)
そして、トシの昔話を聞いた。
トシはかつて、バラガキのトシ、そう呼ばれていたらしい。
バラガキっていうのは、近づき触れれば棘のささる、そんな暴れん坊をいうらしい。
毎日喧嘩をし、わざと茨の中に足を突っ込んで行ってるような男だった。
だが、トシの居場所は茨の中にしかなかった。
妾の子。トシの父親は豪農で、大層な遊び人だったらしい。好き勝手遊び、勝手に死ぬと、子供がひょっこり出てきた。それがトシ。つまり隠し子だったわけだ。
母親を亡くし、行き場をなくしたトシを家に引き入れたのは、長男の為五郎さん。息子のようにトシを可愛がり、トシも為五郎さんにだけはなついていた。
だが、それが仇となった。トシが11の時村で大火がおこった。その混乱に乗じて暴漢が押し入ってきた。
そして、為五郎さんはトシをかばい眼を斬られたそうだ。
そこから先はトシもよく覚えていないらしいが・・・・・どうやら・・・・・トシが暴漢共を殺したようだ。
そこからトシはバラガキと呼ばれだし、為五郎さんにも顔を見せなくなった。
悔しかったんだろう。大切な人を護り切れなかったのが・・・
だからトシは鉄をかばった。
鉄の痛みが、トシにも理解出来るのだろう。
はみ出し者の気持ちが・・・・