第18章 昔の事を語っている奴は、たいてい寂しい奴だ
引き寄せられ、思いっきり抱きしめられた。
その腕が、頼ってもいいと言っていた。そのぬくもりが怖がるなと言っていた。その口が、背負わせてくれと言っていた。
私はこの人たちを頼るなんて真似をして、傷つけたくなかった。もう二度と、悲しい思いをしたくなかった。
もし私達の戦いに巻き込まれた時に、護りぬける自信がないのだ。
それでもこの男は、こんな醜い私を愛してくれている。
ありがとう。
私はそんな思いを込め、トシの背中に手をまわした。
そして、弱々しく抱きつく。
そして、気付いた。
よくよく考えれば・・・・・・見られてません?
私は恐る恐る周りを見回すと、ニヤニヤとにやけている隊士たち。不機嫌そうにしているのは総悟だけだ。
そんな総悟が私達に近づいてくる。
沖「人前でいちゃつかないでくだせぇ。土方さん」
そう言って、私の腕を引っ張り、トシと私を放した。
沖「こんな事やってる場合じゃねぇですぜ。監察の吉村が捕まっちまったようで」
『捕まった?永松に?』
沖「そうでさぁ。・・・・これで、俺達も行かなきゃならねぇ理由ができた」
『ったく・・・・・・迷惑だこと・・・・』
私はブーツを履いた。
『近藤さん、ついてくるのは構いませんが、ひかないでくださいね?』
近「・・・・・ついてきてもいいってことかな?」
『そーゆーことです』
私は振り返り、ニカッと笑って見せた。