第3章 あいつのために
「よう静雄!」
事務所に帰ると、トムさんとヴァローナがいた
「手に持っているものについて質問します」
俺は袋の封を開けながら、クマにつけるリボンのことを話した
「お前にしちゃあ可愛いこと思いつくんだなあ」
と、トムさんが笑いかけてくる
それはあの双子に会って、一緒に手芸屋に行った時にアドバイスをもらったんだと付け加えた
そうやって話をしていると、俺の周りにいる人たちが、
俺みたいなやつにこんなに色々してくれるのが嬉しくなった
「トムさん、ヴァローナ、
ロッタリアでもワックでも露西亜寿司でも、
とにかく晩飯行きましょう
今日は俺に2人分奢らせてください」
2人は少しの間顔を見合わせ、
そのあと俺を見て笑った
「いきなりどうしたんだ?
仕事休みだった奴に奢ってもらうのって、
なんか気が引けるべ」
「肯定です」