第1章 まだ気がつかない
春だというのに、肌寒い。
ここの環境にはまだ慣れない。
長く住んでいた東京を離れ私は秋田にある、陽泉高校へと入学した
親の反対を半ば無理矢理押し切って陽泉高校へと入学したのは事情がある訳で…
「…敦ー!!!あんた、約束したのにまた先に行ったわねー!!!!」
少し前に歩く嫌でも直ぐに分かってしまうその姿を見つけ怒鳴りながらそいつの元まで走って行く
「あ〜ちんおはよ〜」
いつものよーに間延びたセリフにそろそろ嫌気がさし、落胆するも彼は今日も今日とて平常運転だ。
「おはよ〜じゃないよ!!私が来るまで待っててっていってるじゃん!!」
そういうと彼はガサガサと手に持ってるコンビニ袋の中からお菓子を探り目当ての物を見つけたのか、満足そうに微笑みながらお菓子の封を開けそれを食べる。
「え〜そうだっけ〜?俺、朝はまずコンビニ行きて〜し、この辺少し歩かないとコンビニね〜し、さっさと行きたかったんだよね〜」
約束をすっぽかしたにも関わらず、悪びた様子もなく答える。こいつの名前は紫原敦