第6章 ありえませんよ
教室にいた他のクラスメイトたちも、ちらほらと移動を始める。
「本当だわ。…って。征十郎はまだ戻ってこないの?」
「そのまま行ったんとちゃうん」
「あの人何も持っていなかったわ。もう…」
部室にファイルを戻しに行っただけじゃなかったの?
それなら、どうしてこんなにも遅いのよ。
もう予鈴が鳴っちゃうじゃない。
「成美ちゃん、先に行っててもらえるかしら。私は征十郎を探してくるわ」
「ほんま世話焼きやなぁ。オッケ、先行くわ」
教科書やノート、ペンケース…といった必要なものを持って、成美ちゃんは教室を出た。
私も自分のものと、征十郎の机の中から彼のものを持ち、部室の方向へと向かった。
部室の前に着いた時には既に予鈴の鳴る寸前。
私は勢いよく部室のドアを開け、中を確認すれば案の定征十郎の姿が目に入る。
「あー、やっぱりまだここにいたのね」
「カスミン?」
私が部室の中にいる征十郎に向かって声を掛ければ、征十郎以外の人からの返答が返ってくる。
「あら?皆さんもここにいたんですね」
そこには征十郎の他にレオ姉、コタちゃん、永ちゃんの姿があった。
え、何?
ノートを返しに来たついでにトランプ?何やってんの?