第5章 尽くすだけ
「公式戦デビューお疲れ様です」
「お前、俺のこと舐めてんだろ」
「まさか」
試合終了後、会場を出る際に黛んさんに声を掛ければ、こんな言われ様。
「公式戦くらい中学ん時も出てた」
「中学と高校では色々と違いますよ?1ピリの時間も伸びますし」
黛さんは、決して下手な方ではない。
寧ろ全国的な目で見れば、上手い方に入るんだろう。
それでも洛山では、その実力も埋もれてしまう。
「これから黛さんにはもっと活躍してもらいますからね?私、楽しみです」
「俺はお前の玩具か」
まさか。
『キセキの世代』の彼らじゃあるまいし。
バスケに真剣に打ち込む選手で遊んだりなんて愚行はしない。