第2章 聞いてないわ
「何の用だ、じゃないわよ!ここのバスケ部、女子マネージャー募集してないってどういうことよ、聞いてないわ!きちんとわかるように説明してちょうだいっ!」
あんたが『僕に付いて来い』なんて言うから、わざわざこんなとこまで来たんでしょうが!
バスケにはもう関わらない、と決めていたのもあんたが許してくれなかったから、こうしてまたマネージャーするために私はここにいるんでしょ?!
「ああ。そのことか」
納得。という表情をした征十郎に私はまた一つ怒りを覚える。
「わざわざ私をここまで連れて来ておいてそれはないわよ!マネージャーをしなくていいのなら私は今すぐ東京へ帰るわ!」
「何を言っているんだ」
お前は馬鹿か、とでも言いたげなこの顔。
私は怒ってるのよ?状況わかっているの?
ふざけるのも大概にしてほしいものだわ。
「あら、征ちゃん。この子が例の?」
睨みあう私と征十郎の元へ、背の高い綺麗な人が寄ってくる。
…ん?この人、男?女?
あら?というよりこの人どこかで見たことが…。
「あーっ!俺この子知ってる!中学ん時いつもベンチにいたよね?月バスの特集も見た!」
綺麗な彼に続いて、今度は八重歯が印象的な男の子。
…この人もどこかで…。
「月バスなら俺も読んだぜ?…へぇ、実際見るとホントに綺麗な顔だな」
八重歯が印象的な彼と並んできたのは、大ちゃんには負けるけど色黒な筋肉マン。
…あら?さっきから見たことのある人ばかり…。
どこで見たのかしら…えーっと…。