第2章 聞いてないわ
私はこの三人を見ながら、遠い遠い記憶を辿り必死に思い出す。
「…『無冠の五将』…?」
「まあ、アタシたちのこと知っててくれたのね。嬉しいわぁ」
間違いない。『無冠の五将』だ。
このオネェ口調の彼は、『夜叉 実渕玲央』。
八重歯が印象的な彼は、『雷獣 葉山小太郎』。
色黒筋肉マンの彼は、『剛力 根武谷永吉』。
「(…嘘。『無冠の五将』って洛山だったの?!しかも三人?!)」
中学時代後半から情報収集を全てさっちゃんに任せていた私は、一つ上の彼らがどこへ進学したのかなど調べもしなかったし、気にも留めていなかった。
呆然と立ち尽くす私に、征十郎はため息をついて言った。
「この三人はここのスタメンだ。覚えておけ」
「え?…どういう…」
そりゃそうでしょう。
征十郎たち『キセキの世代』がいなければ、確実にもっと有名だった人たちだ。スタメンでないわけがない。
それに、覚えておけって…。
「赤司ー、この子勘違いしてんじゃん。言ってねーの?」
葉山さんは征十郎を見て言う。
勘違い?一体何の…?
「卒業式以来会っていなかったからな」
「それでも連絡ぐらいできただろ」