第2章 聞いてないわ
「征十郎ぉぉおっっ!!」
親切にもここのバスケ部が女子マネージャーを募集していないことを教えてくれた彼らに一礼だけした私は、過去最速ではないかと思うほど珍しく全力疾走をしてバスケ部の一軍が使っているという体育館へ向かった。
そしてドアを開けるなり、これまた珍しく怒声を上げる。
「…え、誰?」
「すっげぇ怒ってるけど…え?赤司?」
「めっちゃ可愛いじゃん…ってなんか見たことが…?」
突然、見たことのない女子生徒が、この春推薦で入部したばかりの天才の名前を叫びながら体育館のドアを開けたことに、当然体育館の人々は驚きを隠せない。
「…騒がしいぞ。一体何の用だ」
ご指名された征十郎は、呆れた顔をしながら怒っている私の元へ歩み寄ってくる。