第5章 尽くすだけ
「誠凛高校には今年、『キセキの世代』の幻の六人目のテツ君が入部しています。それともう一人、帰国子女で本場仕込みの火神大我もいます。現在の誠凛のエースは彼です。彼の跳躍力は並外れたもので、これからもさらに伸び続けます。まだ粗削りな部分はありますが、間違いなくシュートは止められるでしょうね。まあ…秀徳が連携を取ってパスを回すようになるというなら話は別ですけど」
「よくそこまで調べられたな…感心するぜ」
永ちゃんが私のノートを覗き込みながら言うので、私はどうも、とだけ小さく呟いた。
だが、これだけではない。
「じゃあ…IHはその黒子がいる誠凛が来るわけだ」
「それも無理です」
「え?違ぇの?」
コタちゃんはキョトンとした顔で私を見る。
私はさらにページをめくり、話を続けた。
「決勝リーグで当たる桐皇学園、大ちゃんのいるところに負けますから」
これは推測なんかではない。確信だ。