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青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第5章 尽くすだけ



私は小さく息をついて、コタちゃんの指さすノートを開きながら答える。


「ではまず、黄瀬のいる海常のからですね。海常はかなりの強豪だということは既に知っていることだとは思います。特にPGの笠松さんとSGの森山さんは少し癖がありますね。しかし、その海常はつい先日の誠凛との練習試合で負けています。敗因は黄瀬のワンマンプレイにあったようです。初めて敗北を経験した黄瀬は、連携プレイを意識して練習をしていました。黄瀬のバスケ経験自体は浅いのですが、これからさらに伸びていくことは間違いありません。それと…」

「なんだ」


ノートに纏めた黄瀬の情報を淡々と読み上げていくが、ここからはあくまで私の推測。

言うかどうかを迷っていると、征十郎が首を傾げる。


「あくまで推測よ?黄瀬は中学時代は『キセキの世代』の模倣だけはできなかった。だけど、いずれあいつは自分の中のトリガーさえ取り除けばできるようになるわ」

「トリガー?何だそれ」

「彼らへ憧れです」


黄瀬は『キセキの世代』の全員を尊敬の眼差しで見ている。

それ故、勝ちたいけど負けてほしくない…という感情の板挟みになっていることは前々からわかっていた。

今回の偵察で感じたのは、ほんの少しだが以前の黄瀬に戻っているということ。

そのうち、「このチームのために戦いたい」など考え出すことは明白であり、そうなれば『キセキの世代』への憧れは捨てるに違いない。

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