第5章 尽くすだけ
いまだわからず、首を傾げる三人に私は説明を続けた。
「『キセキの世代』の黄瀬涼太は知っていますよね?」
「海常に行ったSFの子よね?確か…モデルもやってたかしら?」
「そう、そいつです。黄瀬がバスケを始めたのは中二の春からです。そして黄瀬がまだバスケを始める前までは別のSFが存在していて、彼が『キセキの世代』の一人に数えられていました。それが灰崎祥吾です。黄瀬は二代目なんですよ」
「へぇ…そんな奴がいたんだ。知らなかったな…」
私が説明すれば、コタちゃんが自分の中学時代の記憶を辿るように、視線を斜め上の方へ向けた。
「でもよ。今藍川、『また始めた』って言わなかったか?」
永ちゃんがまた首を傾げながら私を見る。
「途中退部したんだ」
私の代わりに征十郎が答えた。