第5章 尽くすだけ
「遊びに行ったわけじゃないのよ?」
「当たり前だ」
…むっ
間髪入れずに言う征十郎に少しながらイラッと来たが、それが彼なのだから仕方ない。
「面白いことを聞いたの。征十郎、祥ちゃんを覚えているかしら?」
「祥ちゃん?誰それ?」
私の問いかけに反応したのはコタちゃん。
征十郎以外の三人は、首を傾げながら私を見た。
「ああ。灰崎のことだろう?それがどうした」
「祥ちゃん、またバスケを始めたらしいの。学校は静岡の福田総合。相変わらず練習はサボってるようだけど、これから視野の一つに入れておいても損はないんじゃないかしら?」
私がそう言えば、征十郎は目を細めて私を見る。
「よくそこまで調べがついたな」
「私を見くびってもらっては困るわ」
「なあ、その灰崎って誰だ?」
私と征十郎が話していると、話について行けない永ちゃんが私に問いかける。
「灰崎祥吾。元帝光中バスケ部で、初代『キセキの世代』のうちの一人です」
「え?初代?じゃ、赤司たちは二代目なわけ?」
「違いますよ」
うーん、言い方が悪かったのかしら。