第4章 ごめんね
私は征十郎を見ているとき、そんな顔してたんだ…。
「…うっ……まゆ、ずみさ…んっ…」
とうとう我慢していた涙は零れ落ち、頬を伝う。
「泣かれるのは勘弁してほしいんだけど」
「…ごめ…っ…なさっ…」
「はぁ…ったく」
泣き出してしまった私の頭を黛さんは優しく撫でてくれた。
誰かに頭を撫でられるのはいつ振りだろう。
修ちゃんがアメリカへ行ってしまったあの時以来ではないだろうか。
久しぶりの優しいぬくもりに、私の涙は止まることを知らなかった。
「…ごめんなさ…っ、今日だけ…今日だけで、いいから…もう、泣きません…から…」
もう二度と泣かないから。
私は征十郎の道具に過ぎないんだって、受け入れるから。
だから、ごめんなさい。
今日だけ、この瞬間だけ。
泣かせてください。