第4章 ごめんね
黛さんは私の横を通り過ぎて、私が元来た部室への向かう。
「あ、そーだ」
後ろから黛さんが不意に声を発した。
「藍川って、赤司のこと好きだろ」
…え?
気づかれてる…?
これでも、中学時代の”あの時”から自分の気持ちは隠してきたつもりだ。
気づかれるわけなんて…。
「隠してんだろーけど、俺には分かったぜ?他の奴らは気づいてねーけど」
「…どうし、て?」
私はゆっくりと振り返り、黛さんの方を見た。
黛さんは既にこちらを向いており、私をジッと見る。
「赤司から人間観察やれって言われたから」
「そう、ですか…」
「…で、お前が泣いてる理由は赤司なんだろ?」
黛さんの言葉に私は先程無理やり止めた涙がじわじわと目に浮かんできた。
「お前は赤司を見てるとき、いつも泣きそうな顔してんだよ」
無意識だった。