第4章 ごめんね
「(…道、具?)」
今、私のことを道具って…言った?
「赤司ひっでー。そんなこと言ったらカスミン泣くぜ?」
「事実なんだから仕方ないだろう。華澄は優れたマネージャーだ、それは僕も買っている。だが、それだけだ。他にいられては面倒だと思ったから連れてきたまでのこと」
あら?おかしいわね。
視界が段々とぼやけてくるわ…。
ダメ、これ以上聞いていたら…間違いなく私は自分を保っていられない。
私は、走り出していた。
どこへ行くとか決めていないけど、あの場にいてはいけない気がした。
「(…わかってた。わかってたけど)」
征十郎にとって私はただの道具。
そんなことはずっと前からわかってたことじゃない。
でも、まだ直接言葉にしては聞いていなかった。