第4章 ごめんね
そのはずなのに、私の顔はいまだ何の感情も持っていなかった。
「…私は、一体何のために存在しているの?」
一人呟いてみても、答えなんて出ない。
三年前はマネージャーであることが誇りだったし、どれだけ仕事がハードでも全く苦ではなかった。
皆の笑った顔を見れば、自然と私も笑えていた気がする。
だけど今は、自分がマネージャーということに重圧を感じているし、嫌悪感まで抱いている。
バスケは好きだけど、彼らのバスケは嫌い。
笑うこともなくなった。
それでも、マネージャーを辞めることなんて許されずに、今でも続けている。
「…余計なことは考えちゃいけないんだったわね」
そうだったわ。
余計なことは言わない、考えない、征十郎の言うことに従う。
この三ヶ条さえ守っていれば、私は彼の側にいることが許される。
ただ、征十郎のことが好きで。
彼が変わってしまっても、それでも好きで。
一人孤独の道を行く彼を放っては置けなくて、彼の側にいたくて。
…ああ、そうか。
「私の存在理由は…」
――― 征十郎なんだ。