第4章 ごめんね
「…赤司君のとこに、帰るの?」
笑顔を張り付けたまま、私は目を見開いて固まった。
…今、何て?
「ごめん。二人が中学の終わりに話してるの聞いちゃってさ…私、なんとなくだけど気づいてた…。で、でも!このことは誰にも話してないし…!」
「何を言ってるの?」
ごめんね、優ちゃん。
「私は今アメリカに住んでるのよ?修ちゃんたちと。征十郎のとこに帰るなんてありえないわ」
いつか、本当のことを話すから。
その時は私のこと思いっきり殴っていいから。
「それに私はもう征十郎どころか他の皆にも卒業式以来会ってないし、連絡も取ってないわ」
私のこと、嫌いになっていいから。
「本当に偶々日本に帰って来てただけなの」
「…そう、なんだね」
ごめんね。
傷ついた顔をする優ちゃんに追い打ちをかけるようなことしか言えない。
「私、もう行かなくちゃいけないから。また今度ね」
これ以上優ちゃんの顔を見ていられなくて、私は彼女に背を向けて歩き始めた。