第4章 ごめんね
思わぬ事態に、私は柄にもなく動揺した。
優ちゃんの姿を見た瞬間に体が固まってしまい、頭が上手く回らない。
「何で?なんでここにいるの?アメリカは…?」
そう問いかける優ちゃんに何も言葉を返すことができない。
まずいことになった。
それだけはわかったが、それを理解したところで状況は何も変わらない。
どう誤魔化そうか。
とりあえずとぼけるしかない。
「優ちゃん、偶然ね?偶々こっちに用があって帰って来てたの」
尤もらしく、疑われない嘘を吐く。
これならば大丈夫なはずだ。
「そ、そうなんだ…。それならそうと連絡してよ」
「ごめんなさい。すぐに帰らなければいけなかったのよ」
「……」
大丈夫だ。
心配ない。
嘘をつくことにはもう慣れた。