第4章 ごめんね
ボールがフロアをつく音、バッシュのスキール音。
バスケ部がどこにいるかはすぐに分かった。
私はできるだけ中からは見えないようにして、ヒョコッと体育館の下窓から練習を覗いた。
「(…えーっと。あの眼鏡の人が主将の日向さんね。あとは…あのPGが伊月さん、だったかしら?)」
下調べは終えているので、あとは名前と顔を一致させるだけ。
「(ちょうどミニゲーム中で良かったわ。これなら案外すぐに終わりそうね)」
既に調べの付いている二年生のデータをできるだけ細かくメモを取り、ここからは大本命の一年生。
「(あ、彼が火神大我ね)」
見渡せばすぐに誰が火神大我なのかわかった。