第4章 ごめんね
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数日後、暦はゴールデンウィークを迎えた。
私は征十郎の言付通り、五将三人のメニューとついでに部員全員のケア指示をノートに纏めて彼に渡した。
ゴールデンウィークの初日に新幹線で東京へ向かい、その日は久々の家族団欒のひと時を過ごしたが、翌日からは、当初の目的を果たすため、誠凛高校へと足を運んだ。
「(…流石は新設校。偵察が私以外いないわね)」
『キセキの世代』のいるところは勿論、強豪校となれば大抵他校からの偵察がいるので、それに混じって観ていれば基本的にはバレることはない。
だが、ここ誠凛高校は創部一年目で去年のIH予選では決勝リーグまで行ったと言っても、周囲からの評価はまだ低い。
「(どうしようかしら…。一人だと確実に目立ってしまうわ)」
現在、私は伊達眼鏡にキャップを深く被ってはいるが、バレるときはバレてしまうし、私の顔は割れているわけで、何かと色々まずい。
さらに、ここにはテツ君がいる。
私がいくら注意していたとしてもテツ君は気配なく現れるので、どうしようもない。
彼に見つかってしまえば一貫の終わりだ。
「仕方ないわ。ギャラリーから観たかったけど、下窓から覗くだけで我慢するしかないわね」