第4章 ごめんね
「は?ゴールデンウィークは実家に帰りたい?」
ゴールデンウィークを直前に控えたとある日。
放課後の練習前に私が征十郎に言うと、彼にしては珍しく眉間に皺を寄せて聞き返してくる。
「ええ。特に遠征があるわけでもないでしょう?私がいなくとも練習は回るし、いいじゃない」
「いいわけないだろう。この間も資格の講座に行くと言って一日抜けていたじゃないか」
「それは征十郎も監督も許可を出してくれたでしょう?だから今回も…」
「まず理由を言え。話はそれからだ」
理由を言ったところで彼が納得するかどうかはわからないが、私はこのままでは実家へ帰ることはできないため、仕方なく口を開く。
「誠凛の偵察に行きたいのよ。この間の海常との練習試合も勝ったらしいじゃない?テツ君もだけど、例の新しい相棒が気になるの。別に行って損ではないでしょう?ついでに関東に残ってる『キセキの世代』の様子も見てくるわ」
「それで僕が許可するとでも思ったのか。第一、お前はバスケ界で顔が割れているんだ。もしバレでもしたらどうするつもりだ」
「私、最近かくれんぼは得意なのよ?」
「そういう問題ではない」
無表情ではあるが、怒ったように言う征十郎。