第21章 エピローグ
「華澄」
前に歩き出した三人に対して、征十郎は私に振り返って手を差し出す。
私は少し頬を赤くしながら、その手を取った。
「桜…楽しみね?」
「そうだね」
掌に伝わる優しいぬくもりを感じながら、私たちも歩き始める。
「あー!!赤司とカスミンがイチャイチャしてるー!」
「小太郎!うるさいわよ!」
「そっとしといてやれよ」
手を繋ぐ私と征十郎を見たコタちゃんが騒ぐと、レオ姉と永ちゃんがその頭を叩いた。
その様子がおかしくて、私は笑う。
私だけではない。
前を歩くレオ姉、コタちゃん、永ちゃん…隣の征十郎も。
そんな私たちを、春の優しい風が包んだ。
END.