第21章 エピローグ
また春が巡ってきた。
今日の部活はお休み。
だが、私は惰眠を貪ることなく、出掛ける準備をしていた。
準備を終えたところで、テーブルの上で私の携帯が鳴り響く。
「はい」
『華澄』
耳をくすぐる愛おしい人の声。
『君は一体準備にどれほどの時間がかかるんだい?』
「今出来たわ」
『もう皆待っているよ』
「それはごめんなさい。今行くわね」
電話を切り、私はバッグを片手に棚の上を見つめる。
以前までの三つの写真立てのには、新しい写真が二つ追加された。
一つは、WC準優勝後の洛山の皆での写真。
一つは、テツ君の誕生日に帝光のメンバーでの写真。
あまりにも飾りたい写真が増えたことによって、今では写真立てではなく、コルクボードに貼って飾っている。
その写真に微笑み、私は玄関を出る。