第20章 側にいたい
「好きだよ、華澄」
征十郎は微笑みながら言った。
好き…?征十郎が、私を…?
一つ一つ言葉を理解していくうちに私の目から涙が零れ落ちた。
「う…そ…」
「本当だよ。初めて会った時からずっと華澄のことが好きだった。これからも俺の側にいてほしい」
これは夢なの?
だけど、目の前の征十郎の目は嘘をついているとも思えなくて…。
「わ、私でいいの…?」
「ああ、華澄じゃないとダメだ」
「本当に?本当にこんな私でいいの?」
「ああ」
風に揺れる髪。
耳をくすぐる凛とした声。
そして優しい微笑み。
「私も…ずっと好きだったぁ…っ」
私がそう言うと、征十郎は嬉しそうな照れた笑みを見せた。
その瞬間に、今までの辛く苦しかった日々が報われたような気がして、私はさらに泣いた。
きっと…この涙は今までで一番綺麗な涙なんだと思う。