第20章 側にいたい
と、その時。
勢いよく教室の扉が開けられた。
「先生…すみませんが華澄は留学しません」
「せ、征十郎?!」
そこに立っていたのは練習着姿の征十郎。
征十郎だけではなかった。
レオ姉、コタちゃん、永ちゃんまでいた。
「皆さん…どうしてここに?練習はどうしたんですか?」
先生は口を開けたまま固まっていた。
いまだ状況を把握できていない私が恐る恐る問いかけた。
すると、五将の三人は鬼の形相で私に詰め寄る。
「アタシたちに何か隠してると思ったら…そう言うことだったのね!」
「何で黙ってたんだよ!俺たちに何も言わずに行くつもりだったのかよ!?」
「カスミン!俺、流石に怒るよ?!!洛山を裏切ったって何なのさ!そんなこと思ってるわけないじゃん!!」
「いえ…あの…」
凄い剣幕で怒る三人を前に私は言葉に詰まる。
と言うより…練習は…?
「藍川…?何なんだ一体…お前、バスケ部の連中に言ってなかったのか?」
「……」
先生までこの焦りよう。
「先生!カスミンは留学しないから!!これはなかった話だから!!」
「オイ行くぞ、藍川。言いたいことが山ほどあんだよ」
「え…?ちょっ…ちょっと…」
なかった話って…今更それってアリなの?
私はどうしたらいいのかわからず、ただコタちゃんに手を引かれて教室を出た。