第20章 側にいたい
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その日も放課後の部活前に進路相談室を訪れていた。
主将の征十郎には、「先生に呼ばれている」と嘘をついて遅れていくことを伝えてある。
「まー…藍川の成績なら問題ないだろうな」
机を挟んで目の前に座る先生が私に笑いかけながら言う。
机の上には沢山の資料。
志望校も決め、あとは手続きだけだ。
「必要な書類は用意するし、藍川も準備しておけよ?」
「はい」
これでもう後戻りはできない。
早くからこうした方が良かったのかもしれない。
そうすれば、皆に引き止められて決意が揺らぐこともなかったのだから。
私はフッと笑い、席を立って部活へ行こうとした。