第3章 似てるの
変わっていく自分自身にはじめは戸惑ったが、それでもそんな自分を受け入れたのは全て征十郎の側にいるため。
以前とは正反対に変わってしまっても、結局私がそれでも彼のことを好きだったから。
「それと、今日練習を見ていて黛さんには全くと言っていいほど体力がないことを改めて実感しました」
「うるせーな」
私がそう言うと、黛さんはフイっと顔を背ける。
「なので黛さん専用の個人メニューを作ったので、やっておいてください。勿論…拒否権なんてありませんから」
「ちっ」
手に持つノートの中から先程できたばかりのメニュー表を差し出すと、黛さんは舌打ちをしながらそれを受け取った。
「ですがオーバーワークにだけは気を付けてくださいね?一応そうならない程度のメニューにはしてますが、万が一のことがあっては大変ですから。体に少しでも不調を感じたらすぐに言うこと。いいですか?」
「……」
黛さんは私の言葉に返事はしなかったが、その無言を了承と捉え、私はその場を去る。