第20章 側にいたい
…離れたい、わけないじゃない。
『ハッキリ言って、そんなんじゃ留学に行ったとこで何にもなんねーよ。行くだけ無駄だ』
修ちゃんの言っていることは正しい。
だから、私もそれ以上反論できなかった。
『これは俺からの命令だ。絶対に行くな。赤司と一緒にいろ』
「……」
『返事は?』
「……」
いつものように私の返事を待つ修ちゃんだったが、今回は何を言っても聞かないと判断したのか、また一つため息をついて電話を切った。
「私だって…」
本当は行きたくない。
この先も洛山のマネージャーでいたいし、征十郎の側にいたい。
だけど、これは私なりの償いでありケジメでもある。
留学の件は、まだ相談の段階とは言え、そろそろ手続きにも入らなければならない。
今更迷っている時間なんてないんだ。