第19章 私の役目
次々と皆の注文した飲み物を購入していると、あっくんが徐に口を開いた。
「俺…藍ちんに言いたいことがあるんだ…」
「……」
私の目を真っ直ぐに見つめ、真剣な表情で言うあっくん。
なんとなくの察しはついた。
「夏にも言ったけど…俺さ、ずっと藍ちん……華澄のことが好きだった」
「うん」
「ホントにホントに大好きだった」
「うん」
「ずっと、赤ちんじゃなくて俺のこと見て欲しいって思ってた」
「うん」
あっくんの言葉を一つも聞き逃さないように、私もあっくんの目を真っ直ぐに見つめて聞いた。
「でも…華澄の目には赤ちんしか映らないんだよね?」
「…うん」
「はぁ…やっぱ赤ちんには敵わないなー…」
すると、あっくんは私を正面からギュッと抱きしめる。
「ずっと華澄だけは譲れないって思ってた。でも…今の赤ちん見てたら、なんか諦めがついちゃった。それにね?俺、気づいたんだ…華澄のことが好きなのはホントなんだけど、それと同じくらい赤ちんのことも好きだったんだって。だから…寂しかったのかもしれない、華澄と赤ちんが二人して俺から離れていきそうでさ…離れてったのは俺の方なのにね…」
「……」
あっくんは弱々しく、ははっと乾いた笑いを漏らした。