第19章 私の役目
「私…留学しようと思うの」
「留学、ですか?そのことを赤司君には…」
テツ君の問いかけに、私は首を振る。
「私ね?あの頃の征十郎に戻って欲しくて…ずっとチームが負けることばかり考えて動いてたわ。洛山のマネージャーとして絶対に取るべきでない行為よ。結果、洛山は負けた…征十郎は元に戻ってくれたけど、私が洛山を裏切ったのも事実だわ。もう私は洛山にはいられない」
「藍川さん…」
「それに…帝光時代、皆がああなってしまったのは私のせいでもあるでしょう?これはせめてもの償いなの」
私の決意。
私は洛山高校バスケ部マネージャーを辞め、海外へ留学する。
だが、留学だからと言って修ちゃんのいるアメリカへ行くわけではない。
一人、皆の前から去ろうと思う。
私が話し終えると、テツ君は俯いてしまった。
「テツ君には感謝してるのよ?私は結局何もできなかったわ。今征十郎があの頃のように笑ってるのは、全部テツ君のお蔭…本当にありがとう」
俯くテツ君に私は頭を下げた。
「顔をあげてください」
そう言われ、私が顔をあげると、テツ君は優しく微笑みかける。
「僕の方こそお礼を言わせてください。藍川さんには何度も助けられました。藍川さんがいなければ、僕たちは優勝することができなかった…本当にありがとうございます」
「テツ君…」
こんな私でも、少しは役に立てたのかな…?