第3章 似てるの
私が口角を上げながら言うと、征十郎は立ち止まった。
突然立ち止まった彼に合わせて私も立ち止まり、数歩後ろの彼に振り返る。
「どう?面白いでしょう?」
「…華澄は本当に素晴らしいマネージャーだな」
顔をあげた征十郎の目は冷たく、何を考えているのかわからない表情。
「そう言うと思ってたわ」
私が屋上へ通っていた理由はただ安息の地が欲しかっただけではなかった。
黛さんの観察も兼ねてだった。
つくづく、私は征十郎の駒の一つに成り下がったんだと感じる。
「幻の六人目…また欲しいんじゃないの?」
私が言うと、征十郎は口角を上げて、左右で少し虹彩の異なる瞳で私を捉えた。
翌日、私は征十郎に黛さんのデータを渡した。
征十郎はそれを食い入るように見ていた。
そして、その数日後。
征十郎は黛さんを連れて一軍の体育館へ入ってきた。
彼を…テツ君の代わりの、六人目とするために。