第19章 私の役目
「…あの日、藍川が言った意味が分かったよ」
氷室さんとの電話を傍らで聞いていた黛さんは小さな声で言った。
「まあ…藍川が決めたってんなら俺は何も言わねーけどな。ただ、後悔だけはしないように気を付けろよ。今みたいな顔をするくらいならやめとけ」
黛さんは読んでいる本から目を離すことなく言った。
「…黛さんって、実は面倒見いいですよね」
「茶化すんだったら早く部活に行け。赤司に怒られるぞ」
「はぁい」
わざと生意気な風に返事をすると、黛さんは一瞬だけ嫌な顔をしたが、それもまた一瞬で消え、いつもの顔に戻った。
そんな黛さんに一つ微笑みかけてから屋上を後にし、私は新チームとなったバスケ部の待つ体育館へと向かった。