第19章 私の役目
すると、黛さんははぁ…とため息を吐きながら答えた。
「気持ち。もう赤司は変わったんだ。言ってもいいんじゃねーのか?」
「……」
多分、だけど洛山で私の征十郎への気持ちを知っているのは黛さんだけ。
黛さんの言葉に、私は少し顔を赤くして俯いた。
「…いえ、言いませんよ」
「何で?」
「……」
恥ずかしいから、とかそんなんじゃない。
別の理由がある。
私は顔をあげて、前を歩く征十郎を見た。
「私の役目は…もう終わったんです」
「は?」
「オイ、藍川ぁ。お前は肉と湯豆腐どっちがいいんだー?」
私の答えに何か言いたげな黛さんに微笑みかけると同時に、永ちゃんがこちらを振り返りながら問いかける。
「どっちも嫌です。レオ姉の言ってるカフェにしましょうよ」
「「「は?!」」」
「流石華澄ちゃん。乙女心がわかってるわぁ」
私は前を歩く四人に笑みを見せた。
……征十郎はこれだけ笑ってるんだもの。
もう、私がいなくても…大丈夫よね?