第18章 おかえりなさい
試合は再開。
残り二分で点差は7点。リードは洛山。
そこで誠凛の動きに変化が起きた。
どこか得体のしれない圧力を感じ、誠凛全員が何かに合わせている様子で、乱れがない。
「征ちゃん!」
レオ姉が声をあげ、全員の視線がレオ姉に向いた時。
征十郎のパスはコタちゃんへ回った。
コタちゃんは一気にゴール下まで切り込み、レイアップを決めようとするが、火神に追いつかれる。
が、それも予測していたようで、ダブルクラッチに切り替えて決めようとした。
「!」
完全に意を付いた攻撃だった。
はずだったのに、コタちゃんのシュートは日向さんに止められる。
誠凛の動きは、火神の動きに合わせた連携…。
「まさか…」
征十郎は目を見開いた。
本当のゾーン…それは…。
「そうさ…俺一人で戦うんじゃない。仲間と戦うんだ…!」
仲間との一瞬のアイコンタクトのみで動きを協調させ、火神のゾーン速度に合わせた超速連携。
『直結連動型ゾーン』。
「これが…真のゾーン、なの…?」
凄い、の一言に尽きるその動きは、息をすることも忘れるほどだ。
「ゾーンの速さの連携…なんて、まさかそんなことが…」
レオ姉たちも信じられない様子で、誠凛の背中を見つめた。
その後は、息をつく暇も与えられぬほどの鍔迫り合い。
それでも押しているのは誠凛で、なんとか征十郎が『天帝の眼』でサポートしてるものの、誠凛の連携速度がわずかに上回っている状況だ。