第18章 おかえりなさい

だが。


「…いいや。もう宙はお前の場所ではないよ、火神」


その手は届くことなく、永ちゃんはボールを叩き込んだ。


「火神君！！」


そう。

とうとう来てしまったのだ、火神の体力の限界が。

体力も切れ、ゾーンも切れてしまった火神の動きは鈍いもので、完全にガス欠状態。

それに加え、誠凛はもうＴ・Ｏも取れない。

そして、ついには誠凛全員の限界が迫ってしまった。

対するこちら洛山は、まだ体力にゆとりがある上に征十郎の力で運動性能と調子が上がってきている状態。

見てられないほどの差だ。

その時。


「頑張れ誠凛！！諦めるな！！頑張れ黒子！！」


ギャラリーから一つの大きな声援が響いた。

その声のする方へ目を向けると、そこにいたのは見覚えのある男の子。


「（彼は確か…全中決勝で戦ったテツ君の…）」


荻原君だ。

彼の姿を見たテツ君は、苦しそうに顔を歪めた。

が、荻原君はニッと笑いながらバスケットボールを取り出した。

私たちのせいでバスケを辞めてしまった彼が…またバスケを始めたのだ。