第18章 おかえりなさい
それ以降は常にもう一人の彼が意識を支配し、勝利至上主義をさらに押し進め、全中三連覇を達成。
そして、本来の彼は意識の底に沈み、そのまま上がってくることはなかった。
はずだった。
だが、彼は自力で目を覚ます。
そして考える。
『その気になれば…今すぐにでも戻ることはできる。だが、それでは交代するだけだ。俺の中にもう一人が居座り続けることになる』
『元はと言えば、幼少期から続いた精神的負荷…自分の弱さが生んでしまったものとは言え、あまりいい気はしないな。もう一人の自分は勝利への権現化。もし敗北すれば、勝利への義務が果たせなくなった時。その存在意義は消滅する』
『俺はただ…待てばいい。あいつらならば、必ず俺を倒してくれるだろう。もう仲間には戻れない。俺の犯した罪は、どちらにせよもう消えない。ならば、罪を背負って敵であり続ける方がずっといい』