第18章 おかえりなさい
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「オイ…赤司?」
何も言わず、急に目を閉じた征十郎を訝しげに思った黛さんは思わず声を掛けた。
すると征十郎は、スゥッと目を開いた。
「征十郎…?……っ!」
開かれたその目を見て、私は目を見開き、息をのんだ。
「監督、すみません…もうしばらく出してもらえませんか?」
「…!?」
凛とした声で征十郎は言った。
そして立ち上がると、黛さんの方を向いて顔をあげる。
「誰とは心外だな。俺は赤司征十郎に決まっているだろう」
そう言った征十郎に、私の目から涙が零れ落ちた。
征十郎だ。
間違いなく、あの頃の征十郎。